先進科学・イノベーション研究センター

再生・細胞治療研究センター

本研究センターは平成28年11月1日に設置され、肝臓再生療法・がん免疫細胞療法の確立および細胞培養技術の確立と事業化をめざしています。医療用細胞培養装置の自動化を含む細胞培養関連技術の開発・産業化に加え、国立大学初の大学院課程「再生医療・細胞療法のための臨床培養士育成コース」における高度専門人材育成により、次世代先進医療の実現とともに産業創出と地方創生に大きく寄与したいと考えています。 センター長 坂井田 功

1.肝臓再生療法

厚生労働省より先進医療Bの認定を受け、世界初の肝臓再生療法「肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法」を実施しており、平成25年からは沖縄県と連携し同治療法を開始したほか、積極的に海外研究者を受け入れて人材育成に力を入れている。また、肝臓再生療法国際拠点を目指して延世大学(韓国)等に自己骨髄細胞投与療法の技術移転を実施し、国際多施設臨床研究により有効性と安全性が確認されている。さらに、より進行した治療困難な非代償性肝硬変症を対象に、局所麻酔下で「培養自己骨髄細胞を用いた肝臓再生療法の安全性に関する研究」も実施しており、本年10月末日までに4症例の細胞投与を行った。

再生・細胞治療研究センター

現在、肝臓再生療法国際拠点を目指し、国際共同研究として延世大学(韓国)に自己骨髄細胞投与療法の技術移転を実施しており、「進行した肝疾患(肝硬変症)に対する自己骨髄細胞等を用いた低侵襲で効率的な革新的再生療法の臨床的確立」「国内だけでなく国際的な普及」を目指す。

2.がん免疫細胞療法

近年、がんの3大療法である化学療法、外科的切除、放射線療法の枠を越えるような画期的な治療法として、がん免疫細胞療法に注目が高まっている。これは作用機序が異なることから従来の3大療法との併用も期待され、そのひとつにキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor: CAR)を遺伝子導入したT細胞療法(以下CAR-T細胞療法)がある。現在、CAR-T細胞療法は白血病などの造血器悪性腫瘍に対して、寛解率90%という著明な臨床効果を発揮すると報告されているが、悪性腫瘍の大部分を占める固形がんに対しては未だ開発が進行中であり、対応すべき課題も多く存在している。

当研究センターでは、これまでに日本医療研究開発機構(AMED)「次世代がん医療創生研究事業」等の支援を受け、「固形がんに対して優れた治療法を有する新規CAR-T細胞療法の技術シーズの確立と前臨床研究における有効性の確認」および「前臨床レベルでのCAR-T細胞培養法のプロセス開発」など多くの成果をあげており、今後実用化にむけ、臨床応用可能な品質レベルのがん免疫細胞の培養・製造、臨床試験、医薬品承認など段階的に開発をすすめる。

3.細胞培養技術

肝臓再生療法チームは、平成25年度JSTのCOI-AS採択以来、企業との「肝臓再生療法のための革新的なアイソレータの開発」によるロボット制御自動細胞培養装置の産業化を進めている。がん免疫細胞療法チームでは、平成28年度AMED「産学連携医療イノベーション創出プログラム」により事業化の鍵となる「固形がんに対する次世代型CAR-T細胞の大量培養法の確立」や「細胞培養の自動化システムにおける基盤技術の開発」を目指している。今後、それぞれに適した細胞培養技術を確立し、それらをロボット細胞培養システムへ還元・事業化を目指す。